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業界動向

循環出資・相互保有の資本関係を、ツリー図ではなく正しく可視化する方法

2026-08-17 公開

グループ会社の資本関係図というと、頂点に持株会社を置き、その下に子会社をぶら下げるツリー図(組織図)を思い浮かべる方が多いはずです。
実際、この形で足りるグループは少なくありません。
しかし、相互保有や、複数の法人が共同で出資している構造を持つグループでは、この形では表現しきれない部分が出てきます。

ツリー図が前提にしていること

一般的な組織図・ツリー図は「1つのノードに親は1つ」という前提で描かれます。この前提が崩れる代表的なケースは次の2つです。

  • 複数の出資元を持つ法人: A社とB社が共同でC社に出資しているケース。C社の「親」は1つに決められません。
  • 相互保有: A社がB社に出資し、B社もA社に出資しているケース。どちらが「親」でどちらが「子」かという二分法自体が成立しません。

これらは特殊な例外ではなく、合弁事業やジョイントベンチャー、持株会社を介した段階的な資本参加が絡むグループでは、むしろ日常的に発生する構造です。
ツリー図のテンプレートやソフトウェアでこれを表現しようとすると、注記や吹き出しで補うか、図そのものを崩して描くしかなくなります。

「関係の一覧」として捉え直す

この問題を避ける考え方は、資本関係を「誰が頂点か」というツリー構造としてではなく、「出資元と出資先の組み合わせ」を1件ずつ積み上げた関係の一覧として捉えることです。

  • A社 → C社(出資)
  • B社 → C社(出資)
  • A社 → B社(出資)
  • B社 → A社(出資)

この形で記録しておけば、相互保有も複数の出資元も、特別な例外処理なしに、単に「行が増える」だけで表現できます。可視化の段階で、この一覧をツリーとして描くか、より自由な構造(グラフ)として描くかは選べますが、データそのものを一覧として持っておけば、あとからどちらの見せ方にも対応できます。

公開しているデータ準備テンプレートの「資本関係」シートも、この考え方に沿って「出資元・出資先」の1行1関係で記録する設計にしています。記入方法の詳細は別記事「グループ会社の出資関係を『出資元・出資先』で正確に記録する方法」でまとめています。

実質的支配者リスト制度との関係

この論点は、法制度の側からも裏付けがあります。
法務省が所管する実質的支配者リスト制度は、議決権の50%超(該当者がいなければ25%超)を有する自然人の申出・保管を行う制度で、2022年に運用が始まった比較的新しい仕組みです。
複雑な資本系列を持つ会社ほど、この申出の準備段階で「誰がどの法人をどれだけ保有しているか」を整理する負担が大きくなるとされています。

支配関係が単純なツリーで表現できないケースほど、この整理作業に時間がかかります。日頃から資本関係を関係の一覧として整理しておくことは、こうした法令対応の場面でも土台になります。

本稿は公表資料をもとにした一般的な情報提供であり、個別の法令解釈や自社の対応要否は専門家にご確認ください。

まとめ

グループの資本関係が複雑になるほど、「誰が親か」という前提に立つツリー図は限界を迎えます。出資関係を1件ずつの事実として積み上げる形で記録しておけば、相互保有や複数の出資元がある構造も、特別な例外扱いをせずに表現できます。

SOLCUBE Coreは、この「関係の一覧」の考え方をそのまま製品の土台にしており、記録した出資関係を有向グラフとして描画します。

SOLCUBE Coreの資本関係図画面。起点企業から出資関係を有向グラフで表示し、過半数保有・少数保有・相互保有・比率不明の4区分を線の色と太さで区別している。

過半数保有は太い線、少数保有は細い線、相互保有は色を変えた線で表示されるため、どこがツリー構造から外れているかが図の上でそのまま見分けられます。

参考

グループ会社の資本関係を整理するためのテンプレートは、この記事末尾のご案内から無料で入手できます。

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